池袋駅西口に丸井が開店した頃のことだから、もう何年前になるのだろうか。ネット上の情報では「1977年(昭和52年)5月に「丸井ニュー池袋西口店」として開業」となっている。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E4%BA%95
たぶんその頃のことだと思う。当時池袋駅に出やすかったので、よく出かけていた。丸井で買い物をすることが多かったので、早速開いたばかりの丸井に行ったりしていた。確か、地下に喫茶店があって、中々落ち着けたのでよく行っていた。丸井で見るのはオーディオとパソコン売り場だった。まだPCショップなどが少ない頃で、量販店もあまりなかった頃だと記憶している。それで、丸井でパソコンを買ったりしていた。
あるとき、昼食を取ろうと思い食堂街に行ったことがあった。そこにモリナガの食堂があったので入って、中華丼を注文した。なぜ中華丼だったのかは覚えていない。中華風のものが食べたかったのかもしれない。
待つことしばし、出てきた中華丼を食べたところ、まずいのだ。「これはしまったなぁ」と思いつつそれでも食べていると、なんとなく親しみがわいてきた。まずいと思っているのに親しみを感じるというのも変な話だが、事実そうだった。それでなんとなく楽しくなって、十分満足してまずい中華丼を食べ終えた。
それにしても、何がよかったのだろうか。思うに、そのまずさがあるポリシーを持っていて、「これは中華丼です。是非召し上がって下さい」と確信を持っているようだったのが理由かもしれない。それで、このメニューはすっかりお気に入りとなってしまった。私にとっては「池袋名物 丸井のモリナガの中華丼」という存在になってしまったのだ。
それから、池袋で昼食を取るときは必ず丸井に行って中華丼を食べて、そのまずさを再確認するようになった。こうなってくると「人なつこいまずさ」となって、すっかりファンになってしまった。
こういう、ある意味で幸せな時間を過ごせていたのだが、ついにこの幸福も終わるときが来てしまった。味が変わってしまったのだ。いつ頃変わったのかは覚えていない。しかし、変わった後の中華丼は「ただのまずい中華丼」になっていて、あの人なつこさ、確信に満ちたような味わいはなくなっていた。その日は非常にがっかりしてモリナガを出た。
その日以降モリナガの食堂には行っていない。今も池袋の丸井にモリナガの食堂あるのかは定かではない。池袋が行動範囲から外れてしまったからだ。行くことがなくなってしまったから思い出が固定されてしまったのか、いまでも時々あの中華丼を思い出して懐かしさを感じている。