スポンサードリンク

2021-06-12

武士論 五味文彦著 講談社選書メチエ 2021.5刊

 武士についての論かと思って読み始めたのだが、そうではなかった。武士が勢力を持ち始め、ついには朝廷を凌駕するようになるまでの過程を追った本だった。

この点については著者も「はじめに」で「古代から中世にかけての武士の在り方を丹念に見てゆ」くと記している。そしてその前提として、「武士とは何か」についてをはじめの方で述べている。

長い期間を扱っているのだが、内容はよく整理されていて読みやすい。ただ残念なのは説明に使った絵巻の写真がモノクロなのでよくわからないところがあった事だ。まぁ、美術本ではないのでやむを得ないところではある。

平氏政権を「幕府」と捉えるのは最近の傾向なのだが、なるほど、そう考えるとこの政権の意味もはっきりするようだ。

頼朝は平氏政権の興亡を見て、鎌倉を動かずに武士政権をたて、全国に支配を及ぼそうとしていったといえようか。そのため、征夷大将軍就任以前から、武士政権として動き始めていたようだ。

記述は義満の頃で終わり、この時期に足利氏による武家政権が確立したとしている。