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2021-12-21
セリアの音がクリアに聴こえるステレオイヤホン
2021-12-20
荘園 伊藤俊一著 中公新書2662 中央公論新社刊 2021.9
荘園というのはよく聞くのだが、どういうものなのかよくわかっていなかった。専門の叢書もあったりするのだが、ちょっと専門的すぎる感じで手が出なかった。歴史辞典の記述は短すぎてよくわからないでいた。それで荘園というのはちょっと謎めいた存在になっていた。ところがそのものズバリの書名を持つこの本のおかげでようやく荘園というものがどういうものなのか納得できた。
そういう点ではわかりやすい本だ。律令制の外にあった私領のことを荘園というのだ、といえそうだ。これが長い間存在したのだが、室町時代が終わる頃になくなっていった、ということになる。
わかりやすい記述なので読みやすい本だ。貴重な情報としては荘園の存在した時代の気候のデータを掲載し、それを基にしてどのような時代だったのかを示している。なるほど、飢饉と洪水は日本には古くからあったのだなと思わせられた。
中世はあまり手が出ない時代なのだが、この本は興味を持って読む事ができた。長い間の疑問が氷解してよかったと思っている。
2021-12-03
SONY SRF-T355
SONYのラジオSRF-T355を買った。製品紹介はここだ。PLLシンセサイザーラジオのポケットラジオを買うのは久しぶりだ。以前持っていたのだが、使わなくなって処分して久しい。
ところが地元にラジオ局が開局したのを機会に聞き始めると地元の局以外の局の番組も聞きたくなってきた。それだけラジオが身近になったのだろう。
と言いながら、実は20年ほど前だろうか、買ったラジオがあってそれで地元のラジオ局を聞いていたのだが完全なアナログ機なので選局が中々大変だった。ポケットに入る大きさではなかったので家の中では移動しながら聞くには不便だった。それを解消したいという考えが強くなり、名刺型ラジオの購入となった。
現在では家の中で聞いたり外を歩きながらだったり電車やバスの中で聞いたりするので、スピーカーとイヤホンを使い分けられる方が良さそうだ。それで名刺型のスピーカー付きラジオに落ち着いた。使う状況によって選択する機種が変わってくるものだなと思った。よかったと思ったのはイヤホンはすでに何種類か持っていたので新たに購入する必要がないからだ。
イヤホンはアンテナ代わりなのでFM放送を聞くときには必需品だ。もっとも、これはケーブルであればいいので、イヤホンジャックに挿せるオーディオケーブルでも大丈夫なことを発見した。ちっと不恰好だがアンテナの役目は十分果たしている。
ところで、別に持っていたポータブルスピーカーをラジオにケーブルで接続してみたら聞くことができた。しかも接続用のケーブルがアンテナになっているのでFM放送をラジオのスピーカーより格段にいい音で聞けることを確認した。こういう聞き方もいいなと思った。
じっくりとラジオの音楽を聞くやり方が見つかったのは意外な収穫だった。
今では出かける時には必ず持って行くことにしている。
2021-10-01
SONY MDR-1AM2
久しぶりにヘッドホンを買った。それがSONYのMDR–1AM2だ。SONYのイヤホンは買ったことがあるのだが、ヘッドホンは初めての気がする。
ヘッドホンを買ったのは室内で音楽を聞くときにはある程度大きくても大丈夫だし、ノイズキャンセルもBluetoothもいらない場合が多いためだ。バッテリーの状態を気にしないで使えるのは、それだけ手間が省けるようにも思えた。耳を塞ぐ密閉型なので、夏の暑い季節には使いづらいかな、と思ってもいる。しかし簡便さは大きな魅力だ。
つけてみると意外に軽く装着感はちょうどいい感じで、これなら使いやすそうだと思った。
アンバランス接続で使ってみた。落ち着いて透明な感じの音は日本のメーカー特有の感じがする。やや個性に欠ける音がするが日本のメーカーの特徴なのだが、このヘッドホンもその例に漏れない。まぁ、これは想定内のことなので気にするほどのことではない。
ヘッドホンを選ぶときに今回は「ハイレゾ対応」というのが選択項目に入っていたので、自ずと日本メーカー中心の選択になってしまったのだろう。
デザインは悪くはないのだが、無難な感じだ。これも着けてしまえはデザインは見えなくなるので、あまり気にするほどのことでもないと思われる。
2時間ほど使っても疲労感が無かったし、明瞭で落ち着いたサウンドなので使い込んでみようと思った。
2021-09-11
スポーツとしての相撲論 西尾克洋著 光文社新書1140 光文社刊 2021.6
書名通りの内容の本だ。余計な飾りをつけずに、目に見える相撲について論じている、これまでありそうでなかった著作だ。
著者は相撲好きでありながら、競技として相撲を見ようとしている。その点に好感をもった。以前から知ってはいた人なのだが、書いたものを読んだことはなかった。今回初めて読んで、明快でよく考えられた内容に感心した。
あまり相撲に詳しくない人からの質問に回答するという形式の本だが、単なる入門書ではない。著者のこれまでの相撲評論から自由になった立場からの発言は心地よい。
なるほどと頷ける発言が多い中、特に白鵬に触れた部分はこの力士の特徴をよく表しているように思われた。
新書で、かさばらない本なのだが、新しい相撲評論の地平を拓いた点は素晴らしい。著者のますますの活躍を願いたい。
2021-08-05
徳川忠長 小池進著 歴史文化ライブラリー 527 吉川弘文館 2021年刊
徳川忠長は家光との関係ではよく言及されるが、単独ではあまり取り上げられていないように思われる。もしかしたら処分されたことによって、資料が抹殺されているのかもしれないが、詳細は不明だ。この本でも資料が不足していることは指摘されている。
著者は家光と忠長の不仲説に不賛成である。それがこの本の一つの柱になっている。もう一つは、忠長の生涯を丹念に記述している点だ。
この本のサブタイトルは「兄家光の苦悩、将軍家の悲劇」であるが、これはそのまま著者の考え方を示している。
忠長が色々な不始末を始めるようになっても、家光はなかなか処分しようとはしていない。その辺りに家光の忠長に対する気持ちが表れているという著者の考えが基調になっている本だ。
少ない資料を活用して忠長について記している。予想していたよりは読みやすかった。
2021-06-12
武士論 五味文彦著 講談社選書メチエ 2021.5刊
武士についての論かと思って読み始めたのだが、そうではなかった。武士が勢力を持ち始め、ついには朝廷を凌駕するようになるまでの過程を追った本だった。
この点については著者も「はじめに」で「古代から中世にかけての武士の在り方を丹念に見てゆ」くと記している。そしてその前提として、「武士とは何か」についてをはじめの方で述べている。
長い期間を扱っているのだが、内容はよく整理されていて読みやすい。ただ残念なのは説明に使った絵巻の写真がモノクロなのでよくわからないところがあった事だ。まぁ、美術本ではないのでやむを得ないところではある。
平氏政権を「幕府」と捉えるのは最近の傾向なのだが、なるほど、そう考えるとこの政権の意味もはっきりするようだ。
頼朝は平氏政権の興亡を見て、鎌倉を動かずに武士政権をたて、全国に支配を及ぼそうとしていったといえようか。そのため、征夷大将軍就任以前から、武士政権として動き始めていたようだ。
記述は義満の頃で終わり、この時期に足利氏による武家政権が確立したとしている。
2021-05-26
地元のオーケストラのコンサート
地元のオーケストラが一年ぶりでコンサートを開いた。
去年は中止になったので、「お待たせ!」という感じだ。
なかなか大変だったようで、新型コロナ対策としてステージでは弦楽器の譜面台が一人一台になっていた。管楽器は間隔がいつもより広くなっていた。
プログラムに書いてあったことによると、当初は管楽器は使えないと思い、弦楽合奏の練習をしていたが、対策を講じれば管楽器も大丈夫だと分かったのでやっといつものオーケストラでの練習ができるようになった、とのことだった。
それでなくても困難の多いアマチュアオーケストラなので、大変な一年だったと思う。無事にコンサートが開催できたことは本当に嬉しい。
プログラムの最初は弦楽合奏の曲で、これはコロナ禍の初めの頃の練習曲であったようだ。
2曲目は、楽団初めてというワーグナーだった。前半はフルオーケストラでない曲といういプログラムだった。曲目は「ジークフリート牧歌」だった。大編成の曲ではないので、あまり難しくないだろうと思ったのだが、そうでは無かった。ホルンがなかなか大変な演奏ぶりだった。それでもなんとか無事に演奏できたのでこちらもホッとした。この曲は意外とオーケストラ、というより、ホルン泣かせなのかな、とふと思った。
後半はモーツァルトの39番。やっとフルオーケストラの曲になって、こちらも安心した。と、気がつくと、コンサートマスターが交代していた。前半のコンサートマスターは第2ヴァイオリンのトップに移り、コンサートマスターは別の人になっていた。前半のコンサートマスターの人は、弦だけで練習していた時に中心だったのだろうか、という気がした。
こんなところはアマチュアオーケストラらしい。
さて、指揮者は暗譜でしかも指揮棒を持っていなかった。指揮棒を持たない指揮者はあまりいないようにも思う。いつもなのか、今日だけなのかは不明だ。堅実な指揮ぶりでなかなか良かったと思う。
それにしても、地元のアマチュアオーケストラというのは独特の魅力がある。なんとなく感情移入がやりやすいのだ。一緒に音楽作りに参加しているような気持ちになるのかもしれない。
繰り返しになるが、色々な困難を乗り越えてコンサートを開いてくれたことに感謝したい。
2021-04-25
洋楽の衝撃 近代日本の音楽百年第1巻 細川周平著 岩波書店刊
音楽とは言っても、西洋音楽が日本に入ってくる過程と記しているので、いわゆる邦楽についてはまったく記されていない。
本を開けてびっくりするのはぎっしりつまった文字だ。今時9ポくらいの文字で2段組にびっしりとした本文レイアウトは例外的だ。そのボリュームに圧倒される。
雑誌に連載されたものと本にしているのでとなく論集みたいな感じの本だ。内容はトピックを取り上げて、それについて詳述しているので一見どこから読み始めてもいいように映る。
それぞれのトピックは独立しているのでそのように読んでもいいのだが、トピック自体は年代順に並べてあるので最初から読んでいくと洋楽が広まっていく過程を追いかけていける。順を追った読み方の方がいいように思う。
注、参考文献が充実ているので、学術的な本だとわかる。ただし書きおろしでなく雑誌の連載記事なので専門の人でなくても読んでいけそうだ。
今時の本には珍しく図版がない。この点学術書のような印象を与えるもととなっているようだ。
本巻は幕末からレコード音楽、放送音楽の誕生までを扱っている。続刊はおおそらく扱う年数の範囲が減って項目が詳しくなっていくと思われる。続きを読むのが楽しみだ。
2021-03-21
2021-03-15
科学探偵 シャーロック・ホームズ J・オブライエン著 日暮雅道訳 東京化学同人 2021年刊
シャーロック・ホームズの化学の知識を中心に、彼の広く科学についての造詣を扱っている。
ホームズ物には科学についての言及が多いことは作品を読んでいいればすぐに気づくことである。この点を正面から取り上たた本は、そういえばあるようでなかった。
著者、訳者ともにシャーロッキアンであるので、作品についてよく知った上で書いているので、その点は安心して読んでいける。
興味深かったのは、全60篇あるホームズ作品は「最後の事件」を境に前半と後半のそれぞれ30篇に分けることができ、科学的な記述が多いのは前半の30篇に葉中している、という指摘だ。残念なことに、作品の出来具合もこの傾向と連動しているようで、評価の高い作品の多くは前半の30篇に集中していることも示されている。
これは全作品を読んでみて、何となく思っていたことだが、明確に示されると、やっぱり残念な気持ちになってしまう。もっとも、これはシリーズ物の宿命ともいえるもので、コナン・ドイルもその例に洩れなかったということでもありそうだ。
推理物は一作ごとにトリックを工夫しなくてはならず、それが作品を長く書いていると段々と工夫が難かしくなっていくのは確かなことではある。
それはさておき、これまでなんとなく感じていたことをはっきりと示してもらったので、またホームズものを読んでみようという気になった。それだけ魅力のある作品群なのだと改めて思った。
2021-03-08
失われゆく仕事の図鑑 永井良和[ほか]著グラフィック社 2020年刊
2021-02-24
だれかに話したくなる相撲のはなし 十枝慶二著 2019年 海竜社刊
ちょっと前に出た本だが、最近刊行されているのを知った。
相撲についての本なのだが、著者の視点は相撲=大相撲ではないようだ。もちろん、大相撲、つまり日本相撲協会が興行している相撲の話が多い。しかし、それらの話も、大相撲は多くある相撲の一つの形態で、色々な経緯があって現在の形で行われているのだ、という考えが根底にあって記されている。
そう言うことなので、多くの相撲についての本よりは視点が広いように思う。相撲=伝統という考え方があり、これは日本相撲協会の相撲興行にあたって基本構想のようだ。だが、著者は構想であるからこそより柔軟に事態に対応できるはず、という提案もしている。
物言いの時に、審判委員がタブレットを持って土俵に上がり、そのタブレットで審判室で見ている画面、つまりNHKの中継画面をみて協議してもいいのでは、という提案は素晴らしいと思う。
勝負の判定にビデオを導入したのは日本相撲協会が始めたことで、その先見性は素晴らしいとしつつも、テレビで相撲を観戦している人たちと同じ画面を審判員が見られないのでは、勝負の判定に疑問を持った視聴者への十分な説明ができない、という指摘はなるほどと思う。
もう行われていないが、以前、物言いのあったときの協議の内容を館内に場内放送で流すことをしていた。内容がよく聞き取れないのでやめてしまったのだが、こういうことも現在ならもっとやりやすくなっているはずなので、タブレットと合わせて考えてみてもいいと思う。
内容としては、個々の力士の勝負などについての蘊蓄を傾けるのではなくて、「大相撲について考えてみる」という趣を持った本だ。考えてみると、こういう内容の本は珍しいように思う。著者の視点に大相撲以外の相撲が入っているのは、学生時代に実際に相撲の競技者であったことが影響しているようだ。そのことが幅の広い視点を提供することにもなっている。肩肘張らずに鋭い指摘をさりげなく行なっている点で、配慮の行き届いた本だとも思われた。
2021-02-20
近鉄バファローズ展
2月13日に野球殿堂博物館に行ってきました。目的は、近鉄バファローズの展示です。ご時世で土日しか開館してないのだそうです。とにかく、近鉄バファローズなのです。これは行くしかないと思って出かけました。会期は2020年12月24日〜2021年4月4日までです。
見当としては、東京ドームまで行けば良いようです。そういえば、東京ドームに行くのも初めてです。知らないところに行くのは、プレッシャーがかかります。でも行くしかないのです。
ちょっと迷いましたが、無事に到着です。
野球の殿堂があると言うのは知っていましたが、来るのは初めてです。
中は野球殿堂入りした人の表彰プレートの掲示が中心になっています。当然ですね。そのほかに展示室や図書室がある、という作りになっています。表彰の方はまぁいいかと思い、目的である近鉄バファローズの展示を見ました。当然と言えば当然ですが、優勝するようになってからの選手のグラブ、バット、ユニフォームが多く展示されていました。
久保、徳久の両輪。小玉、関根、矢之浦、土井といった選手たちはあまり登場しませんでした。まぁ、古い時代のものはあまり残ってないのかもしれませんね。
そういえば、阪神の二塁手だった鎌田がいたり、中日のキャッチャーだった吉沢がいたりと意外な選手がいたりしたこともありました。
展示を見ていると、近鉄の赤い袖のユニフォームを着た5、6人の一団が入ってきました。気合を入れたその姿は、バファローズのファンがまだまだ多いのだなと思わせられました。
もう無くなってしまった球団ですが、試合ぶりを毎朝、新聞で確認していた頃を懐かしく思い出しました。行けて本当によかったです。
そんな訳で、充実した1日でした。
2021-02-18
卵2個の卵焼き
卵2個の卵焼き
卵2個の卵焼きをどうやって作るのだろうと思っていたら、ちゃんとネット上に情報が出ていた。ここだ。
それで、早速やってみた。
実は卵2個の場合の情報が欲しかったのは、調味料をどれくらい入れるのかを確認したかったからだ。1個でやるのはちょと難しいそうなので、2個で作って2回に分けて食べることにした。
卵焼き器は持っていないので、6インチ半のスキレットで作ることにした。考えて選択した様に書いているが正確には、卵焼きを作るのにちょうどいい大きさのものがこれしか無かっただけなのだ。
丸いスキレットなので、ちょっと違う感じになると思ったが、出来上がった後に切れば同じことだと言う感じもあった。
初めてなので加減もわからずに、3回卵を流し入れて、手前に巻いていく作業を繰り返した。焦げない様に気をつけるだけで、だいぶ不恰好だがとにかく卵焼きが完成した。
自分で作ったものの出来を評価できるほどのレベルではないのだが、おいしかった。自分で作ると美味しく思えるのは、ある意味錯覚なのだろうが、満足できるのが一番いいはず。次回やるときはちょっと砂糖を多めにしようかな、と言うのが作り終わっての感想だ。
2021-02-17
シュトルツのワルツ、ポルカ、行進曲集
1970年頃の録音で随分前になるのだが、シュトルツのウィーン音楽集を改めて聞いてみた。
これまでは、シュトルツの演奏は、豪奢というか、派手な感じもあってクレメンス・クラウスやボスコフスキーの方がいいな、と思っていた。しかし今回聞いてみると、懐古趣味とは違った、力強さを感じた。もっとも、CDの音はマスタリングで変わったりもするので、その影響もありそうだ。
ランナーの作品はあまり聞く機会がないので、このボックスで聞けるのが嬉しい。もっとも、前聞いていた録音と同じ音源なのだがちょっと違う感じの音になっていた。それでも庶民的な親しみやすさを持っているシュトルツの特徴は変わらない。
CD12枚組なので、聞き通すのはなかなか大変だ。しかし、作曲年代順の配列になっているので、作品傾向の変化も分かったりして面白い。そういう点では買ってよかったと思っている。
それにしても、ヨハン・シュトラウスに会ったことのある人の演奏を今聴くのは、不思議な気がする。
もう一つ、面白いことに気がついた。この録音集はウィーン交響楽団とベルリン交響楽団を使って録音しているのだが、録音の数はベルリン交響楽団の方が圧倒的に多いのだ。どういう理由なのかは分からないのだが。
こういうCDは、箱を開いてたまたま手に取った盤を聞く、という聞き方もできる。いろいろと楽しめそうなアルバムだ。
2021-02-10
陰謀の日本中世史 呉座勇一著 角川新書 2018.3刊
陰謀論論破の本だ。著者の専門である、中世を対象とした陰謀論を取り扱っている。
しかし、中身はそれだけではない。 これまで学界で通説として認められてきたことについても触れ、その誤り、というか検証不足についても指摘している。ある意味では歴史学研究の陥りがちな盲点に ついて書いているとも言える。
応仁の乱について触れているところ、本能寺の変について、関ヶ原についてのところなど、通説的な説明が実は不十分な説明であることにも筆を割き、論証している。
一般書といえる本だが、「陰謀論の法則」を述べていたり論点整理を行っていたりして、学術的な面も持っている。
陰謀論を批判している著作だが、歴史研究の上で気をつけるべきことを述べているのではないか、そんな気さえする。そういう面から見ると、歴史研究の入門書ともいえそうな本だと思う。
陰謀論に対抗するためには、きちんとした知識や論証法を持っていたいとも言っているようにも思える。
2021-02-02
明治維新の意味 北岡伸一著 新潮選書
書名のとおり、明治維新を概観した本だ。著者は政治学者ということなので、歴史学者とは違う視点で書いていることがわかる。出版社の案内はここにある。
全体の流れとしては、明治維新に至る過程とその後のいろいろな動きををすっきりと整理して記述している。その中に時折著者のコメントが挟み込まれ、それが単調になりがちな記述にアクセントを加えている。著者のコメントといっても、しっかりとした根拠と思考に裏付けられているので、説得力がある。きちんと参考文献も挙げられているので、この本を起点にしていろいろと考えを進めていけるのはいい点だと思う。
一般書の範疇に入る本だと思われるが、参考文献や年表が充実しているので、著者の見解を検証したり、更に知見を広げたり深めたりするのに役に立つ。そういう意味では、ただの一般書ではない。
内容としては明治維新を民主化への流れ、というふうに捉えているのは新鮮に思えた。これはこの人の著作を初めて読んだので感じたことかもしれない。実際にその方向が実現したのかどうかは別にしても、確かに民主化への流れを思える現象は明治維新の過程にはみて取れるようにも思える。こういう視点は意外であったが、大事なことだとも言える。
それにしても、あれだけの短期間にあんなにもたくさんの改革をしてしまったエネルギーは不思議だ。自覚してそうしたのか、右往左往しているうちにそうなってしまったのか、どちらなんだろうという気もしてくる。そういう意味では、色々と考えさせられる著作でもある。