「食べること」を土台に置いて近代の色々な人々の有り様を描いた本だ。
食べること自体が色々な背景や意味を持つことがこの本を読んでいくとわかってくる。それは貧困の問題を扱っているようで実はそれ以上の人間が等しく持っている「食べること」を誰しもにも充足させることがいかに困難であるか、を気づかせてもくれる。
だからといって著者はいきり立ってはいない。その困難さを直視し、またその困難さに対して何らかの行動を起こした人の事を資料の中から描き出している。
身近なことが大きな問題に気づく機会であることを示しているばかりでなく、個々人が意識しないで大きな流れの中に存在し眼前の課題にどの様に対処していったかをも示している。
「すぐそばにある歴史学」を実感させてくれた労作だった。