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2023-05-29

帝国図書館 長尾宗典著 中公新書 中央公論新社 2023年刊

かつてあった国立図書館の活動について記している。現在の国立国会図書館に吸収されてしまった図書館がどのようにして設立され、どのように利用され活動していたかについてを簡潔に記している。

結局は計画通りの建物が建つことはなく終わった図書館というのが日本における図書館の位置を示しているようでもある。

現在の司書養成課程の話や図書館の活動についての先人の奮闘の様が描かれている。話題はこの図書館のこと中心なので同時代に存在していたその他の私立、公立の図書館についての記述は多くはない。それでも帝国図書館から見た図書館界の動きは垣間見ることができる。

それまで存在しなかった「国立図書館」というものを兎にも角にも作り上げた熱意には感心した。

充実した参考文献リストは図書館の歴史について関心を持った場合にさらに知見を広げるのに役立つものだ。

私にとっては懐かしい名前がいくつも出てきたので、親しみを感じられた。

アーカイブの思想 根本彰著 みすず書房 2021年刊

「アーカイブ」は聞きなれない言葉だが、「アーカイブズ」とは違う。ここでいう「アーカイブ」は情報源を特定の場所に保管し、それを利用して研究したりするための装置、設備ということだ。まぁ、「図書館」を想定していると言えるだろう。

そういうことから言うと副署名の「言葉を地に変える仕組み」がこの本の内容をよく示している。ヨーロッパやアメリカはこの仕組みを皆で使えるようにと図書館を作っていったのだが日本の場合は個人の自宅に作っていったという違いがあるようだ。

なぜ「図書館」という言葉を使わなかったのかがこの本のテーマかもしれない。「図書館」というと「本が置いてある場所」「読書のための本があるところ」というイメージなるが、著者は「思索を伴う何らかの創造物を作り上げるための材料を保管、提供する施設」について述べたいので「アーカイブ」という言葉をあえて使ったのだろう。

こういう考え方は図書館の本来の役割を明確にしたものかもしれない。多くの場合図書館=貸出、図書館=読書という考えになってしまうがそれは図書館の持つ機能の一面を示しているだけなのでそういうイメージが混入することを避けて「アーカイブ」という言葉を使ったのかもしれない。

図書館が創造的な活動の基地となる、というのがヨーロッパやアメリカでの考え方であるようだ。そのため学校では考えるためのプロセスを大事にし、書くことによって思索の結果を示すための筋道を教えるのが教育で、思索のための材料を提供するのが図書館という割り振りになるようだ。

一見すると図書館の使い方を示しているとは思えないが、実は実践的な図書館の使い方について考えている本でもある。

わかりやすい書き方で論が進んでいくの読みやすい本となっているが内容は深く重いものと思われる。

2023-05-06

地元のオーケストラの定期公演

ベートーヴェンとライネッケのフルート協奏曲がプログラムでした。

ベートーヴェンはエグモント序曲と交響曲第6番でした。

見たところ、管楽器のメンバーが入れ替わっていました。若返りしていました。 観客席はほぼ満員だったでしょうか。何か聴衆の熱気を感じました。

順調にプログラムが進み、「やっぱり実演はいいな」と思っていました。今回は前から4列目くらいの指揮者の真後ろの席でした。こんなに近くで聴くのは初めてです。本当にすぐそばで音が出ていて今までと印象が違いました。

ちょっとスリリングだったのは第6番の交響曲でした。第2楽章の終わり近くで管楽器がひっくり返りそうになったり、部分部分でパートの受け渡しがうまくいかない部分があったりしてハラハラしました。逆に6番は難しいところがあるのだなと思いました。

6番では第2楽章が好きなので特にチェロのトップ二人に注目していました。実演でないと二人の弾きぶりはわからないので「そうなのか」と納得しながら聞いていました。

席が前の方だったのでそう思ったのかもしれませんがオーケストラのサウンドがちょっと変わってより鮮やかになっているように思えました。ちょとくすんだサウンドというイメージがあったので嬉しく思いました。