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2022-10-30

大久保利通: 「知」を結ぶ指導者 (新潮選書) 2022年刊

大久保利通についてのまとまった本を初めて読んだ。「独裁者」として語られることの多い大久保利通のそれとは違った像を描いている。

大久保は「義」と「理」を重視し、正しいことか、十分に筋道が立っているかを重視し、決めた後はぶれないで実行していった人としている。実行型の政治家といえようか。それも、自身で実行するのではなく、その環境を作って然るべき人に実行させるやり方だ。自身の功業を求める人には無いやり方のように思えた。

大久保自身の書き残したものを中心に同時代資料を丹念に読み込んでの著作だ。原資料を現代文に直しているのは読者への便宜を図ったものと思われるが、注によって原文参照が必要になるのでやや煩わしいと思う時もあった。

丹念な注と詳細だがわかりやすい年表がついているので、大久保の足跡がよりわかりやすくなっている。そういう意味では丁寧に作られた本とも言える。

分厚い本ではあるが、著者の文章がわかりやすいので一気に読み進んだような印象がある。

2022-10-17

聯合艦隊 木村 聡著 中公選書127 中央公論新社 2022年5月刊

書名の通り聯合艦隊についての本だ。来歴は著者の博士論文を一般向けに書き直したものだ。その分本格的な研究の様子を知ることができる。

著者は聯合艦隊を海軍内の組織として検討し、臨時的な艦隊が常置になりどのように組織として動いていったのかを検討している。そのため書名から連想されるような戦史ではない。

海軍内でどのような存在であったのか、どのように大きな存在となって行ったのかを跡付けていてその点がユニークだ。これまでこのような視点の研究があったのかは分からないが、新鮮な感じを受ける。

新鮮といえば、著者は日本海海戦を対馬沖海戦と呼んでいる。国際的にはこの呼び名なので好もしく思えた。

粗探しではないが、戦艦扶桑、山城を著者は「航空戦艦」と記している。航空戦艦になったのは両艦の改良型である伊勢、日向なのでちょっと気になった。おそらく博士論文にもこのように記されているのだろう。著者の論旨に影響するようなことではない瑣末なことだが、残念だ。

この著書は著者のこれまでの研究の成果である。この先この研究をどのように深めていくのか注目して行きたい。

2022-10-07

エドゥアルト・ファン・ベイヌム:モーツァルト:交響曲&協奏曲集

ベイヌムのモーツァルトアルバムがあったので買ってみた。 内容は次のようだ。

Mozart: Symphonies & Concertos
指揮 エドゥアルト・ファン・ベイヌム

・モーツァルト:フルート、ハープと管弦楽のための協奏曲 ハ長調 K.299
 フーベルト・バルワーザー(フルート)
 フィア・ベルクハウト(ハープ)
 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
・モーツァルト:交響曲 第29番 イ長調 K.201
 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
・モーツァルト:交響曲 第33番 変ロ長調 K.319
 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
・モーツァルト:交響曲第 35番 ニ長調 K.385《ハフナー》
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
 キャスリーン・ロング(ピアノ)
 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
・クラリネットと管弦楽のための協奏曲イ長調 K.622
 ブラム・デ・ウィルデ(クラリネット)
 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

1950年代のコンセルトヘボウのトップ奏者がソロを務めているようだ。当時のコンセルトヘボウの名人芸が聞けるのも嬉しい。

ちょっと意外なアルバムとも思える。ベイヌムはブラームスやブルックナーの演奏が有名だからだ。しかし端正な中にも味わいのある演奏が聞ける。大事に聞いていきたい。

残念なのは早く亡くなったためにステレオ録音が少ないことだろうか。まぁモノラルでも十分にその力量はわかるのだが。