冗談音楽の怪人・三木鶏郎 泉 麻人著 新潮選書 新潮社刊 2019
名前は知っているが、どういう人かはよくしらない、というのは有名人にはよくあることだが、三木鶏郎もそうだった。
アニメの主題歌やヒットソングで名前は知っていたが、この本を読んでどういう人だったのかがやっとわかった。
やはり、というエピソードがあった。日本で最初にテープレコーダーが発売された頃に早速購入した、という話だ。音楽作りに使ったのだが、すぐ手に入れたところにこの人の進取性が見えているように思う。
三木鶏郎の大きな仕事の一つにコマーシャルソングの制作があると思うが、本人も新しいことに目を向ける人だったのがよく分かる。いい意味での軽さがあった人なのだろう。日本でコマーシャルソングが大量に作られるようになったのは広告収入を主体にする民間放送が始まってからだし、待ったなしで作らなければならなかったのだから大変だったと思う。そういう状況の中で仕事をしていったのだから、力量のある人と言える。そして多くの才能ある人を手元から送り出していることにも驚いた。
それから、三木鶏郎が仕事を始めた頃の話は、占領期のアメリカの政策もほの見えたりして、意外な戦後史にもなっている。そういう点でも面白い本だ。
軽いタッチで描いているが、十分な調査、著者の記憶、収集癖、感性が混ざり合っていて、中々深い内容の本だ。巻末の参考文献はさらに読み進める場合の指針となるばかりでなく、単独で読んでも興味深い本が並んでいる。これもありがたい。
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