咸臨丸の太平洋往復の時のことについて記している本だ。咸臨丸の航海自体のことについての記述はあまり多くなく、関連する知識の説明の方が多い。
そんな特徴のある本だがこれまで読んだ本とは違って航海の過程については一番信頼できる本かもしれない。
それというのも著者は実際に船長として帆船を操った経験があるからだ。そういう人が書いた本なので往路の咸臨丸で何が起こっていたのかについての記述は信頼できる。
船乗りの目から見た咸臨丸はかなり困った状態で航海に臨んだようだ。そのことが理由を挙げて説明されている。まさに「船乗りでなければ書けない本」という感じがする。
面白く思ったのは航海中に色々と問題を引き起こした勝海舟に好意的なことだ。「公開中に自らの欠点を知りそれをそれ以後に生かしていった」というくだりは海舟についての弁護論ともなっているようだ。
充実しているのは資料だ。航海に必要な器具や用語について丁寧に説明されている。これだけでも海事についての知識が得られ、また本文の記述をより理解する助けにもなる。そういう意味では配慮の行き届いた本だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿