最近、1970年代のNHKのライブ録音がCD化された。コンセルトヘボウとの来日の際の録音だ。「ヨッフム&コンセルトヘボウ/1968年東京ライヴ『運命』『田園』」と題されている。ライブ録音ならばスタジオ録音とは違った演奏が聞けると思い、早速入手した。
ヨッフムは基本的には、セッションでもライブでも変わらない人のようだ。オーケストラをきちんとコントロールして、バランスの取れた演奏を聞かせるのは同じだった。ただ雰囲気として、ちょっと勢いがついているようにも思えた。やはり人がいるホールでの演奏では熱が入るのだなと思った。
オーケストラは、当時指揮をしていたコンセルトヘボウだけあってなかなか充実した音を聞かせる。現在よりも、各地のオーケストラが独自の味わいを持っていた頃なので、じっくりと聞かせる指揮でコンセルトヘボウの重厚なサウンドが楽しめたのは何よりだった。
改めて思ったのは、クラシックの演奏は一面ではエンターテインメントなので、楽しめる要素、安心できる要素も必要なのではないか、ということだ。ヨッフムの安定した音楽は、ある面では食い足りなさを感じたりするが、ゆったりと流れに任せて音楽を聞くときには満足感が高いのだと思った。こういう音楽があってもいいし、その時の気分に合う演奏を聞くのもいい聞き方だと思う。肩肘張らずに、音楽を生活の一部として聞いていこうという考えに立つならば、ヨッフムのような演奏は十分に価値があると思った。
「ヨッフムの演奏は生温い」という評価はよく聞いた。ある面では中庸を得た演奏なので、食い足りなさはあるかもしれない。しかしその音楽にどっぷり浸かる感じで聞くとヨッフムの良さがわかるようにも思う。ちょっと大袈裟だが、「ヨッフムを再発見した」と言えそうなライブ録音だった。
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