スポンサードリンク

2022-12-18

暴走する日本軍兵士 ダニ・オルバフ著 長尾莉紗、杉田真訳 朝日新聞出版 2019年刊

副署名の『帝国を崩壊させた明治維新の「バグ」』の方が署名としては相応しいような気がする。原題は『Couse on this country』で、この書名でもよかった気がする。

というのは書名の「兵士」がどうやら兵隊ではなく士官のことを指しているからだ。これは原著にそうなっているのか不明だがちょっと混乱させられた。

その他にも日本史についての不正確な記述があったりするが、これが著者のせいなのか訳者のせいなのかはわからない。

それはともかく「明治維新のバグ」という考え方はなるほど、と思った。要は軍人が暴走したのは明治維新そのものの欠陥に由来するという考え方を提示していることになる。刺激的な考え方で新しい視点と思われた。もっとも「新しい」というのはこちらが知らないだなのかもしれないが。そういえば軍事史からの見地というのも珍しいかもしれない。

ところで「軍人の暴走」とは言っても実際は陸軍しか扱っていない。これは海軍にはそういうことがなかったからなのか、陸軍だけを例にして話をわかりやすくしたのかは不明だ。明治以降の歴史を扱う場合海軍の影が薄いのはいつものことなのだが不思議なことだと思っている。ということはこの本のテーマとは離れていることだ。

分厚い本なのでちょっと読みづらい感じを与えるが読みやすい本なので気にはならない。なぜ陸軍が暴走したのかに関心があるならば手にとってみる価値はある。

日本の歴史に詳しい人から見ると疑問の出る記述もあるが、そこに注目するのではなく著者の主張に目を向けて読む方が良さそうだ。

なお政治学からの書評がある。合わせて読んで欲しい。

0 件のコメント: