この本は二つの部分に分かれる。式子内親王についての部分と女房歌人についての部分だ。どちらも新古今集の時代の人という共通点がある。それというのも著者の『新古今集 後鳥羽院と定家の時代』という著書の姉妹編だからだ。
新古今の時代は女性歌人が目立つのだが、それに焦点を当てている。この本を読んだのは式子内親王を「異端の皇女」と呼んでいるのでその内容を確かめたかったからだ。
著者によると「異端」と呼んだのは皇女であるのに百首歌を熱心に詠んでいたこと、気軽に臣下にあたる人に歌を送っていること、男歌の名手であること、などが理由のようだ。このほかにも、当時一般的だった今日から見ると迷信に思える事柄に注意を払わなかったこともあげられる。
式子内親王の歌は透き通るような美しさと時にみせる激しさとが特徴だ。限られた資料を用いて内親王の実態に迫ろうとしている。これは後年になって内親王に付託されたイメージを修正しようという試みでもある。
私は内親王の歌は静かな中に激しさをたたえた性格がそのまま歌に出ているのではないか、と思っていた。しかし著者の指摘によって、歌のテクニックも素晴らしいものなのだということがわかった。そういうことを明確にできたのは良かった。
内親王の後には女房歌人についての記述になる。これも女房歌人に後年まつわりついた伝説を取り去る考察が記されている。
これまで定説となっていた事柄に新しい光を当てていて歌のみならず色々なことを考えさせる著作となっている。
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