『万年筆バイブル』という本を読んだ。 講談社選書メチエの中の一冊だ。銀座にある文房具の伊東屋のおそらく万年筆担当の人たちが書いたものだと思う。モノとしての万年筆をどのように扱うか、という本だ。そのため、製品紹介を期待すると肩すかしを食らうことになる。
万年筆それ自体、インクそれ自体について必要な知識が記されているので、使っていく上で便利な情報が多い。
印象的だったのは、昔からあったブルーブラックのインクがなくなったことについての説明だ。やはり時代の流れで作られなくなったことが分かる。ブルーブラックインクの特長は保存性に優れていることだったと思うが、現在ではそういう性質のインクが他の色でも作れるようになったので、保存性という意味では使命が終わったように思えた。ただ、ブルーブラックの色が好き、という事もあるので、色だけ同じようにしたパーマネントインクが作られているのだそうだ。
以前のモンブランのブラックインクは日光に当たると字が消えて行ってしまう特徴があった。それで字が消えないブルーブラックの出番があったのだが、これからはそういうこともなくなる訳だ。
実は長年のモンブラン愛用者で、最近又万年筆の使用頻度が上がってきている。新しい製品を買おうという考えはあまりないが、今使っているモンブランは40年以上使い続けている。そう言えば、無印良品の万年筆を買って、一時使っていた。この万年筆用のカートリッジはモンブラン製が使えたのは偶然だったが、嬉しかった。
この本は万年筆自体についての記述が中心になっているので、メーカーの話や名品についての話は控え目になっている。その点からすると、「バイブル」よりは「マニュアル」に近いようにも思われる。
これからどういう万年筆を買ったらいいか、ということにはあまり応えられないが、万年筆をどう使ったらいいか、という疑問には十分答えられる本だと思う。それにしても、こういう本が出版されるのであるから、万年筆に関心を持つ人が多いのだな、と改めて思った。
国立国会図書館の書誌データです。
万年筆バイブル (講談社選書メチエ ; 699) 伊東道風 著 講談社, 2019.4 冊子体 ; 205p ; 19cmhttps://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I029609184–00
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