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2023-07-07

家康徹底解読 堀新、井上泰至編 文学通信 2023年刊

なんだが怪しげな感じもする書名なのだが中身は全く違っていた。科学研究費補助金の研究成果の一部を書籍化したものなので最前線の研究成果を読めることになるわけだ。ちょっと軽めの書名に迷わされてしまったことになる。

各章は徳川家康のいろいろな面について実像編と虚像編に分けて記している。例えば第1章は「松平氏の出自」という章立てになっていて確実な資料から辿れる松平氏(徳川氏)についての記述が実像編で色々な物語等に記されている松平氏についての記述をしていくのが虚像編となっている。「虚像」というのは言い過ぎな感じもするがまぁ、実際とは違う姿を指すのであれば間違いとも言い切れない。

全体的には徳川家康について歴史学、文学、美術の各方面からの論文が集まっていて実像と虚像との差、違いがわかるようになっている。

他分野の研究者が一堂に会しているので同じテーマであっても扱い方が違い、それが一つのことへの多元的なアプローチを示している。そういう点では刺激にあふれた本だ。

細かく見れば論者によって見解の相違が明らかになっている部分もあるが、そこを見るのではなくてアプローチの違いで結論が違ってくる過程を見ていく方がいいようだ。

同じような考え方で織田信長(『信長徹底解読』)と豊臣秀吉(『秀吉の虚像と実像』)も取り上げている。続いて読みたくなるシリーズだ。

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