副署名の「奥女中の仕事・出世・老後」が内容をよく示している。
従来大名家の奥向きのことは徳川家を含めて「不明」とされていた。しかし近年になって残された資料を丹念にみていくことによってその実態の研究が進んできた。この本はその成果の一つだ。
奥女中の出自は色々あるが、自ら習得した技能、知識によってより重い役を背負っていくようなシステムが描かれている。「老後」まであるのは現代の老後保障と結びついているような気がしてくる。
もちろん、登場しているの上昇できる人たちが主体となっている。いわばホワイトカラーの人たちだ。奥にはこのほかにブルーカラーというべき人たちがいるのだが、その人たちへの言及がなかったのは資料的な制約によるものなのかもしれない。そういう点では奥の全体が示されているとは言えない。
しかし奥のシステムが明快に示されたことはそれだけでも意味のあることだと思う。さらに深めたいのであれば、充実した参考文献を辿ってほしい。
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